活動レポート
ACTIVITY REPORT
House de Organic9月研修
9月の定例会は神奈川県川崎市の川崎市産業振興会館で行いました。
午前中の近況報告などの後、午後はまず(株)ファブワークスの中さんからテレビ番組で取り上げられたお宅について動画を見ながら解説をして頂きました。
パッシブハウス認定をとっているコンパクトで性能の高い住宅です。番組内では建主さんが説明をしてくれたそうですが残念ながら設計者の出演は無し(そういう番組ではないそうです)。興味を持ってもらった後にはネット検索や動画サイトが強いですが、何も知らない一般の方に興味を持ってもらうきっかけとしてはテレビ番組はまだ有効かもしれません。
続いて本日のメインの講演の前段として、木造用の金物を多数販売されているBXカネシンと(株)タツミの方からどのような木造用金物があるかの説明を受けました。
特徴はピン工法や在来木造に使う接合金物の規格を合理化したり、設置条件によって選択できるものを多く揃えていることです。実験によって構造的な性能が確認されている接合金物なので使いやすくなっています。またオイルダンパーではない免震金物や耐力壁になる金物壁といった面白い金物も紹介して頂きました。免震金物も免震に対する考え方(思想)が大事という話も興味深かったです。
そして本日のメイン講師としてWOOD HUB合同会社の代表の實成康治さんが登壇。新潟県燕三条市で、木構造をメインにお仕事をされている構造家です。先ほど説明のあった木造金物を駆使した中規模木造のススメという内容でお話し頂きました。
大規模木造は大手ゼネコンの独壇場なので、500m2前後の中規模の鉄骨造の建物の計画を木造に置き換えることでコストダウンを図り、中小ゼネコンだけでなく地元の工務店が参入することを提唱されています。具体的には従来は鉄骨造一択だった大スパンをトラスなどを使って解決しつつ、木造ならではの意匠性を活かしたデザインで差別化を図るというものです。鉄骨造の価格が上がり相対的に木造が割安になっていることを追い風に、大断面の材の使用は最小限にして小断面の流通材を金物を使って組んでいくことで材積と価格をおさえ、地元の工務店でも無理なく施工できるシステム化も狙っています。木材の加工は一般的なプレカット工場で対応できる範囲にしているそうです。
ポイントはオープン工法であるということで、金物も一般販売されていますし工法自体もオープン。どんな金物があるか知っていれば工務店でも地元の構造事務所と連携することで中規模木造建物が建てられます。我々は高性能な住宅の設計・施工をメインにしていますが、予算が厳しくて大空間の必要な倉庫や社屋などの案件で鉄骨造より安くてデザイン性の高い提案ができるのは、木造を得意とする設計事務所・工務店のひとつの選択肢としてありだなと感じました。
とても有意義な研修会でした。實成さん有難うございました。